IAML Vienna Conference Diary / Konferenztagebuch #10: Japanese / 日本人 (Japan / 日本)

Dear Colleagues, Mrs. Yasuko Todo sent her Conference impressions from Japan. It was not her first time in Wien. She has be there before when she went to the IAML conference in Cambridge (some years ago). She reports on the debate on a reform of the IAML structure and she describes her impressions of the excursion and the concerts and more...

40度に迫る真夏のウィーンから戻ったばかり。ほぼ一年前飛行場が新しくなり、地下鉄と空港往復用列車(CAT)がごく最近繋がり、ウィーンミッテ駅で、チェックインさえ可能となり、82日会議最終金曜日の朝、郵便で別送した会議資料一式は、帰国翌日の月曜日には届いた。そのすべてがスピーディであった。音楽の都ウィーンで初めてのIAML会議は、IAMLの歴史上初めである。ヨーロッパ勢でさえ、ウィーンを訪れるのは今度初めて、という人も少なくないことを知った。満を期したIAMLウィーン大会と言えるかもしれない。

会議の様子や印象を求められるままに速報として書いておこう。特別委員会に委嘱された課題、IAMLの機構を将来に向けて見直す、とりわけカウンシルミーティングや総会について、決定に至る合意の取り付け方に時間がかかり過ぎているなど、連日メーリングリストで議論が行き交っていた。長い文章を読解く時間を確保できないまま、旅に出る準備に追われ、終わることのない議論の行方を案じながら、コピーを取ってカバンに収め出発した。 カウンシルの本来の定義を見直すため、別に各国支部代表に限ったラウンドテーブルで事情聴取の機会も設けられてきた。規約を更新するか否かの鬩ぎあいであった。結果は、規約改正に持ち込まれた。これまでカウンシルは、多くの役員経験者や古参会員の定着した意見交換の場でもあり、カウンシルでの議決権は規約に沿って現役役員代表だけであったが、最後の総会で絶妙のバランスを発揮するのは、このカウンシルでの議論にもあったと思われる。ボード(内閣)とカウンシルと総会の三層構造から、むしろボードと総会の二層へ移行する構造を選択することになり、来年のアントワープ会議に向けて新しい規約の提案を待つことになった。ほかに電子投票で初めて挙行した今回の選挙結果は、すでに事務局長ピアからメーリングリストで数日前に第一報があった。これを書いている最中にピアはカウンシルの要約を早くも送ってきている。簡潔な原文を読んでいただこう。 

日曜の夕、オープニングセレモニーが市庁舎の中庭で開かれ、ベルギー、ブリュッセルに住むカリオン奏者である松江万里子氏、香港大学音楽図書館の若い図書館長(ボストンシモンズカレッジ出身)ほか、台湾、北京から総勢6~7人の初参加もあった。そして久々の支部会議参加補助金を獲得された昭和音大図書館の大和紘子氏も初参加、武蔵野音大寺本まり子教授、常連の金沢先生、荒川先生、カナダから藤永氏、筆者も加わりアジア勢が例年より多い大会となった。セッションは、会議サイトの抄録と後日、日本支部ニューズレターをご覧いただくことになるだろう。

全体セッションのウィーンフィルの歴史と現況などの紹介は、会場のメディア不調で不十分なままで残念であったが、オーケストラ録音のサウンドはこのオケ特有。ウィーンの南南東48キロにあるアイゼンシュタットのエステハージ候の館や、ハイドンの家は、往時の宮殿での音楽生活の在り様や距離感を知ることができたエクスカションであった。

楽友協会ブラームスザールでのコンサートはホール全体が楽器のよう響き、柔らかい弦の響き、モーツアルトも奏でたというチェロは殊の外素晴らしく鳴っていた。IAMLのために準備されたプログラム、そしてこの一日だけ展示室に並べられたメンデルスゾーン、ブラームス、ベートーヴェン、シューベルト、ペンデレツキらの自筆譜を眺め、そのすぐ隣のロビーの一方に開かれたドアから、新春コンサートでお馴染みのホール2階席に滑り込める構造になっていて、大ホール全体を見わたせる心憎いばかりの演出を感じた。

                     藤堂 雍子(Yasuko Todo, Japan

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